Client Story

プロジェクト紹介

「地域密着」で拓く、食の産業振興

  • 国分グループ本社株式会社

    サプライチェーン統括部 イノベーション推進部 イノベーション推進課

    柴田 樹Tatsuki Shibata

    300年を超える歴史を持つ、老舗食品・酒類の総合卸売業である「国分グループ本社株式会社」における「モノ売り(卸ビジネス)・コト売り(機能提供・共創ビジネス)」の、「コト売り」領域での事業創出を担当。全国各地の協業パートナーと共に、新規事業の構築・推進を行っている。

「国分」 ×「 myProduct」で紡ぐ地域共創

国分グループ本社株式会社(以下、国分)では長期経営計画 (第11次)の中で“地域密着 全国卸”を掲げ、「食のマーケティングカンパニー」として、モノを売るだけではなく、無形のサービスといったコトでもビジネスの柱をつくるという、モノとコトの2輪で事業を進めています。

myProduct株式会社(以下、マイプロダクト)さんとは、協業するきっかけとなった2020年のアクセラレータプログラムをはじめ、モノとコトをリンクさせるような、食の地場産業振興に関わる事業をさまざまな地域で取り組んできました。

昨年(2022年)からは、三重県松阪市で松阪市のソウルフードである「松阪鶏焼き肉」のプロモーション活動で協業を始めています。マイプロダクトさんとの地域共創活動を知った「国分中部株式会社」からの、「国分家ゆかりの地で活動してはどうだろうか」という声掛けから始まったプロジェクトです。

まずは松阪市が抱える課題は何があるのだろうということを、行政にヒアリングすることから始めましたが、その時に出てきたのが「松阪鶏焼き肉」だったんです。松阪市といえば松阪牛が有名ですが、鶏肉を網焼きにして味噌ダレで食べる松阪鶏焼き肉が、現地ではソウルフードとして深く根付いているんですね。でも、(地域外の)いろいろな人に話を聞くと、“鶏焼き肉”というキーワードがそもそも知られていないし、“松阪鶏焼き肉”というワードから“松阪鶏”の“焼き肉”なのかと誤解されてしまいます。食を通じた地域活性化という点においては、松阪鶏焼き肉の認知度を上げるということが、松阪市における課題解決になるだろうと考え、プロジェクトのスタートを切りました。

ハンズオン事業をはじめ、松阪鶏焼き肉について取り上げたクラフトリップ

今回協業したのは、マイプロダクトさんのオウンドメディアである「CRAFTRIP(以下、クラフトリップ)」の制作支援と、地元の鶏焼き肉事業者が中心となって取り組む「中小企業ハンズオン支援事業(以下、ハンズオン事業)」の参画でした。クラフトリップでは、肉の地域ブランドの一つとして松阪鶏焼き肉を取り上げていただき、ハンズオン事業では松阪鶏焼き肉のプロモーション施策を進めています。

国分がマイプロダクトさんと協業した当初のクラフトリップは、地場産業の事業者と協働して体験プランを作成し、観光客と事業者を直接結び付けるWebプラットフォームでした。しかし、この松阪市でのプロジェクトを機に、ジャーナル型メディアとしてリニューアルするとお聞きして、とても驚きましたね。当初、国分としては従来の、地域に人を呼び込むためのツールとしてクラフトリップを考えていましたので。ただ、メディアとして新たに生まれ変わることで、今後どのような形で協業できるかということを、プロジェクトを通して見定めていければと思いました。

クラフトリップの記事や動画制作にあたっては、国分からは松阪鶏焼き肉に関わる現地の事業者を紹介させていただくことになりました。メディアという新たな形にはなりましたが、引き続きマイプロダクトさんが現地に密着しながら、現地の事業者の方々と深い関係を築いていただいたことは、その後のハンズオン事業にも大きくつながっていきましたね。

マイプロダクトと数多く協働してきた国分・柴田さん

地域密着から広がる新たな可能性

ハンズオン事業では、国分は現地の事業者と共に、松阪鶏焼き肉の新製品開発や展示会への出展などに取り組んでおり、マイプロダクトさんにはプロモーションを行うために必要な情報サイトの制作や、PR動画制作などを担っていただいています。ハンズオン事業が具体的に動き始めた当初は、マイプロダクトさんだけではなく、地域の制作会社と連携を取りながら、必要な販促物を制作することを想定していました。マイプロダクトさんを軸に、各社と連携してプロジェクトを進めています。

ハンズオン事業に先だち、クラフトリップの取材でマイプロダクトの方々が2カ月ほど松阪市に滞在して、多くの事業者と深い関係性を築いていただいていたことは、関わった事業者にとっても大きなアドバンテージになったと思います。ハンズオン事業では自治体から補助金が支給されるとはいえ、使える費用というのは限られています。いかに、制作コストを抑え、品質の高いものを制作するかが、課題でした。地域の事業者と打ち合わせを進める上で、制作物のデザインなど、すでに現地に入り込み松阪鶏焼き肉のことを理解している、マイプロダクトさんのクリエイター部門を交えて打ち合わせを進めていくことで、効率的に進めることができて、制作物のデザインクオリティーにおいても、満足のいくものができたと実感しています。

ハンズオン事業で作成した「松阪鶏焼き肉情報サイト」

国分では長期経営計画(第11次)をスタートした2021年以前から、“地域密着 全国卸”を掲げています。でも、「地域密着って何?」と考えたときに、全国各地にエリアカンパニーがあり、地域に根ざして事業を進めていこうという目標はありました。しかし、何が出来ていたかというと、地域の事業者の皆さまと取引しながら、モノ売りをするという以外の表現はできていなかったように思っていたんです。

マイプロダクトさんと協業したのは、そういった会社全体の転換期でした。これまで進めた協業の一つひとつがモデルケースになり、いわゆる地域共創ビジネスというものがどのようなものかというのが、グループ全体で発信できるようになったのは大きなポイントだと思います。

松阪市をはじめ、さまざまなプロジェクトを通じて地域に密着することで、事業者の懐に入り込むことの重要性を知ることができました。こうした動きは、これからもマイプロダクトさんに引き続き期待したいところではありますし、国分としても一緒に取り組んでいきたいですね。

※掲載内容・所属・役職などは2023年1月のインタビュー時点のものです

会社名
国分グループ本社株式会社
所在地
東京都中央区日本橋1-1-1
設立
1712年
事業内容
酒類・食品・関連消費財にわたる卸売業及び流通加工、配送業務、貿易業、不動産賃貸借業 ほか